フルメタル・ジャケット【映画感想・評価・レビュー・あらすじ・考察】~ユングの「二面性」~

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スタンリーキューブリック監督の戦争映画「フルメタル・ジャケット/完全装甲弾」の感想を書いていきます!

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ハートマン軍曹の新兵しごきは映画史に残る名場面!

あらすじ

原作はグスタフ・ハスフォードの処女小説「短期応召兵(ザ・ショート・タイマーズ)」。米海兵隊3092小隊の新兵たちはいじめ、侮辱が横行する環境下、過酷な訓練を強いられる。人を殺すことを教え込まれ、人間性が奪われていった新兵のひとり、パイルはついに精神を病み自殺してしまう。その後、それぞれベトナムへ送り込まれた新兵たちだったが……。戦火のシーンではスローモーション技術を駆使し、兵士の死をリアルに描いている。

 https://eiga.com/movie/26594/より

映画感想

フルメタルジャケットはベトナム戦争という、いわば戦争の悲惨さを描いた作品と思われがちですが・・・実はもう一つ別の、そして大きなテーマが隠されているのです。

それは、「二面性」です。

ちなみに二面性はユングが提唱したものです。

人には誰でも「二面性」があります。
太陽の光が当たれば影ができるように、

人間の心の中にも「日の当たる場所」と「影」の部分があります。
そして、太陽の光が強ければ強いほど、

影の部分は濃くなって表れるのです。

ユングはこのような心の在り様に注目していました。
ユングによれば、私たちは常に「正反対の方向性」を持っていて、

どちらかの方向が「影」になっているのだとか。
両方の方向性を同時に認識するのは難しいため、

どちらか片方を「抑えつける」ことになってしまうというのです。

誰かに対して「合わないな」と思う原因は、
相手にあるのではなくむしろあなた自身の中にあるもの。

相手の何に対して自分が苛立っているのかを突き詰めて考えていけば、
自分が心の中に抑え込んだ「影」が見えてくるハズです。

そこで、「他人」という鏡を介して自分自身の内面と対話すること!
もう一人の自分を否定するのではなく、

「そういう面もあっていいよね」と受け入れることが、
人間としての成長につながっていくのです。

http://j-phyco.com/category1/entry3.htmlより

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この影は他者を通してしか認識できない(ex.ずるがしこい人を見て不快に感じる)しかもそれは、自分の影だから・・・

相反する属性を持つとどちらに進んでいくのか戦争を通じて描いたのが、このフルメタルジャケットなのです!

 

では、実際にどんな部分が該当するのでしょうか?

微笑みデブの殺人そして自殺

“微笑みデブ”ことパイルは鬼教官ハートマン軍曹に目をつけられてしまいます。

パイル自身も不器用なため失敗ばかり・・・そのうえ周りの新兵たちからも嫌われてしまいます。

 

軍事訓練は、厳しさに仲間と耐えることで一体感を手にして家族以上のつながりを手にします。

ここにユングの二面性があるのです。

「厳しさ」と「優しさ」です。

日々の厳しさと仲間内の優しさの両極端が存在します。

 

ですがどちらか片方を「抑えつける」ことになってしまうのです。

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でも、パイルには厳しさしかなかった・・・

パイルはフルメタルジャケット(完全装甲弾)で厳しさの象徴ハートマン軍曹を殺し、その後自殺します。

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この辺から普通の戦争映画じゃない雰囲気あり

この場面が隠れたテーマを特に顕著に示したところです。

女子供を殺す

新兵としてパイルと訓練を行ったジョーカーは、報道部の記者として前線に向かうためヘリに乗り込みます。

道中でヘリの機銃兵が眼下に広がる畑で仕事をしているベトナム人を無差別に殺してきます。

ジョーカーは’不快感’を感じました。

「なぜ女子供だろうとかまわず殺せるのか」と。

 

ですが、後半で部隊が正体不明のスナイパーに襲われるのです。

なんとか位置を探り出し、正体を知ります。

それが幼い子供でしかも女だったのです。

ジョーカーは驚きのあまり発砲できませんでしたが、代わりに仲間が撃ちました。

 

ヘリでは不快感を感じていたジョーカーですが、その後彼女にとどめを刺します。

自分の影(無差別)が光(慈悲)を抑えつけたのです。

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笑い出したところがターニングポイント

ミッキーマウスと下ネタ

フルメタルジャケット ミッキーマウス

ラストシーンでミッキーマウスマーチを変え歌で歌う兵士たちが行進していきます。

ここでも二面性があります。

場にそぐわないミッキーマウスマーチに下ネタを織り交ぜているのです。

逃げ出したくなるような光景のなか麻痺したかのような兵士たち・・・

闘争本能だけで動いているような印象さえ受けます。

フルメタルジャケット

実は、完全装甲弾にも二面性があるのにお気づきでしょうか?

完全に装甲(防御)しているのに弾(攻撃)する役割を持っているのです。

まさに「矛盾」です。

 

ここにテーマのすべてが詰まっています。

二面性の具体例を三つ書いてきましたが、スタンリーキューブリック監督は人間の殺戮本能を弾丸で表しているのです。

防御より攻撃です。

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一般的に悪とされる闘争本能も、戦争に象徴されるようにあるターニングポイントで光となってしまう

 

「人間には二面性があるが、闘争を好むのが人間だ」そんなテーマがある映画なのでは?

 

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