vol.2 天皇の位置づけ 憲法改正について考えてみる ~自民党の憲法改正草案と現行憲法の違い~

社会問題
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安倍晋三首相(投稿時)は憲法改正を望んでいましたが、道半ばで辞任が決まりました。

以前から幾度となく憲法改正の是非が議論されていますが実際どこをどんなふうに変えようとしているのでしょうか?

ということで自由民主党憲法改正推進本部のHPにある改正案を詳しく見ていきます!

日本国憲法改正草案 | 資料 | 自由民主党 憲法改正推進本部
憲法公布から60年以上の歳月が経ちました。その間、わが国を取り巻く国際環境は大きく変化し、いま時代に即した憲法が求められています。自主的な憲法改正に取り組む自民党の活動をご紹介します。

vol.1前文についてはこちら

vol.1 前文 憲法改正について考えてみる ~自民党の憲法改正草案と現行憲法の違い~
憲法改正っていったいどこを変えるのでしょうか?どんな内容に変更するのでしょうか?自民党の憲法改正推進本部のHPにある改正案をくわしく、わかりやすく考えていきます。 レポートや課題への利用も! 今回は前文の変更点を見ていきます

第一章 天皇

第一条から第八条までほぼすべて変更されているので、一つづつ比べていきます。

第一条(天皇)

・現行憲法

天 皇 は 、 日 本 国 の 象 徴 で あ り 日 本 国 民 統 合 の 象 徴 で あ つ て 、 こ の 地 位 は 、 主 権 の 存 す る 日 本 国 民 の 総 意 に 基 く 。

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一度は見聞きしたことあるはず!

・改正案

天 皇 は 、 日 本 国 の 元 首 で あ り 、 日 本 国 及 び 日 本 国 民 統 合 の 象 徴 で あ っ て 、 そ の 地 位 は 、 主 権 の 存 す る 日 本 国 民 の 総 意 に 基 づ く

日本国の象徴であり日本国民統合の象徴(現行)=日本国および日本国民統合の象徴(改正案)で、地位が主権の存する日本国民の総意に基づくという部分は共通です。

違いは天皇を「象徴」であると同時に「元首」とも規定しているところです。

では元首とは何か? wikipediaによると・・・

元首とは国の首長、または国際法で対外的に一国を代表する機関であり、君主国では君主、共和国では大統領などである。『百科事典マイペディア』は国内的には統治権(少なくとも行政権)と、条約締結、外交使節の任免・接受、軍隊の統帥、外交特権(外国滞留中)を持つとしている。

大日本帝国憲法では第4条で「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬(そうらん)」するとの明記があった。

現行の日本国憲法には元首の規定はない。そのため元首について様々な見解がある。象徴天皇を元首とする説実質的機能を重視し内閣ないしその首長たる内閣総理大臣を元首とする説元首は不在とする説等がある。田中浩・芦部信喜・長野和夫によると学説の多数は、権限を持つ内閣または内閣総理大臣を元首としている。

 

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実権の有無、統治形態の違いにかかわらず、国家元首は国家の長としての特別な権威を持つべきだと考えられているけど、同時に自由主義、および国民主権の立場からそうした権威は不要であるとする考えもあるそう

 

何をもって元首とするかは明らかにされていないのが怖い所・・・

象徴天皇を元首とただ単に定めただけなのか? それとも今まで以上の権限を手にできるためなのでしょうか?

第二条以降で明らかになるかな・・・

第二条(皇位の継承)

・現行憲法

第 二 条 皇 位 は 、 世 襲 の も の で あ つて 、 国 会 の 議 決 し た 皇 室 典 範 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 こ れ を 継 承 す る。

 

・改正案

第 二 条 皇 位 は 、 世 襲 の も の で あ っ て 、 国 会 の 議 決 し た 皇 室 典 範 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 こ れ を 継 承 す る。

 

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「っ」が「つ」に改正されるそうです

 

第三章 (国旗及び国家)

・現行憲法

天 皇 の 国 事 に 関 す る す べ て の 行 為 に は 、 内 閣 の 助 言 と 承 認 を 必 要 と し 、 内 閣 が 、 そ の 責 任 を 負 ふ。

 

・改正案

国 旗 は 日 章 旗 と し 、 国 歌 は 君 が 代 と す る 。

日 本 国 民 は 、 国 旗 及 び 国 歌 を 尊 重 し な け れ ば な ら な い

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国事行為に関する条文は改正案 第五条に変更されています

国旗と国歌に関する現行憲法の規定はなく、1999年に制定された「国旗及び国歌に関する法律(通称国旗・国家法)」で定められています。

第四条 (元号)

元号に関する規定は現在の憲法にはなく、新しく規定されるものです。

元 号 は 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 皇 位 の 継 承 が あ っ た と き に 制 定 す る 。

現在の元号の制定根拠は1979年に定められた「元号法」です。

ちなみに、明治100年(1968年)を機に国歌・国旗・元号に関する議論が起こった結果生まれた法律です。

現行憲法の第四条は

天 皇 は 、 こ の 憲 法 の 定 め る 国 事 に 関 す る 行 為 の み を 行 ひ 、 国 政 に 関 す る 権 能 を 有 し な い。

天 皇 は 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 そ の 国 事 に 関 す る 行 為 を 委 任 す る こ と が で き る 。

となっています。

 

第三条と第四条はともに、現行憲法下では規定されていない部分(しかし法律で規定されている)を新しく加えるという認識でよさそうです。

第五条 (天皇の機能)

・改正案

天 皇 は 、 こ の 憲 法 に 定 め る 国 事 に 関 す る 行 為 を 行 い 、 国 政 に 関 す る 権 能 を 有 し な い 。

現行憲法の第四条

天 皇 は 、 こ の 憲 法 の 定 め る 国 事 に 関 す る 行 為 の み 行 ひ 、 国 政 に 関 す る 権 能 を 有 し な い。

の部分と全く同じです。

「天 皇 の 国 事 に 関 す る す べ て の 行 為 に は 、 内 閣 の 助 言 と 承 認 を 必 要 と し、 内 閣 が 、 そ の 責 任 を 負 ふ。

に該当する条文は改正案第六条に詳しく書かれています。

第六条 (天皇の国事行為等)

・改正案(内閣総理大臣と最高裁判官の任命)

天 皇 は 、 国 民 の た め に 、 国 会 の 指 名 に 基 づ い て 内 閣 総 理 大 臣 を 任 命 し 、 内 閣 の 指 名 に 基 づ い て 最 高 裁 判 所 の 長 で あ る 裁 判 官 を 任 命 す る 。

 

・現行憲法

天 皇 は 、 国 会 の 指 名 に 基 い て 、 内 閣 総 理 大 臣 を 任 命 す る 。

② 天 皇 は 、 内 閣 の 指 名 に 基 い て 、 最 高 裁 判 所 の 長 た る 裁 判 官 を 任 命 す る。

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二つの条文を一つに合体したのが改定案に!

国事行為の内容

・上 改正案

下 現行憲法(国事行為の内容)

※変更点は赤字

2 天 皇 は 、 国 民 の た め に 、 次 に 掲 げ る 国 事 に 関 す る 行 為 を 行 う

天 皇 は 、 内 閣 の 助 言 と 承 認 に よ り 、 国 民 の た め に 、 左 の 国 事 に 関 す る 行 為 を 行 ふ 。

一  憲 法 改 正 、 法 律 、 政 令 及 び 条 約 を 公 布 す る こ と 。(変更なし)

二  国 会 を 召 集 す る こ と 。(変更なし)

三  衆 議 院 を 解 散 す る こ と 。(変更なし)

四  衆 議 院 議 員 の 総 選 挙 及 び 参 議 院 議 員 の 通 常 選 挙 の 施 行 を 公 示 す る こ と 。

四  国 会 議 員 の 総 選 挙 の 施 行 を 公 示 す る こ と 。

五  国 務 大 臣 及 び 法 律 の 定 め る そ の 他 の 国 の公 務 員 の 任 免 を 認 証 す る こ と 。

五  国 務 大 臣 及 び 法 律 の 定 め る そ の 他 の 官 吏 の 任 免 並 び に 全 権 委 任 状 及 び 大 使 及 び 公 使 の 信 任 状 を 認 証 す る こ と 。

六  大 赦 、 特 赦 、 減 刑 、 刑 の 執 行 の 免 除 及 び 復 権 を 認 証 す る こ と 。(変更なし)

七  栄 典 を 授 与 す る こ と 。(変更なし)

八  全 権 委 任 状 並 び に 大 使 及 び 公 使 の 信 任 状 並 び に 批 准 書 及 び 法 律 の 定 め る そ の 他 の 外 交 文 書 を 認 証 す る こ と 。

八  批 准 書 及 び 法 律 の 定 め る そ の 他 の 外 交 文 書 を 認 証 す る こ と 。

九  外 国 の 大 使 及 び 公 使 を 接 受 す る こ と 。(変更なし)

十  儀 式 を 行 う こ と 。

十  儀 式 を 行 ふ こ と。

またこのほかにも、

5 第 一 項 及 び 第 二 項 に 掲 げ る も の の ほ か 、 天 皇 は 、 国 又 は 地 方 自 治 体 そ の 他 の 公 共 団 体 が 主 催 す る 式 典 へ の 出 席 そ の 他 の 公 的 な 行 為 を 行 う。

と新しく規定されます。

責任の所在

・改正案

4 天 皇 の 国 事 に 関 す る 全 て の 行 為 に は 、 内 閣 の 進 言 を 必 要 と し 、 内 閣 が そ の 責 任 を 負 うた だ し 、 衆 議 院 の 解 散 に つ い て は 、 内 閣 総 理 大 臣 の 進 言 に よ る 。

・現行憲法

第 三 条 天 皇 の 国 事 に 関 す る す べ て の 行 為 に は 、 内 閣 の 助 言 と 承 認 を 必 要 と し 、 内 閣 が 、 そ の 責 任 を 負 ふ。

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承認が消えちゃうんだ・・・

第七条 (摂政)

・改正案

第 七 条 皇 室 典 範 の 定 め る と こ ろ に よ り 摂 政 を 置 く と き は 、 摂 政 は 、 天 皇 の 名 で 、 そ の 国 事 に 関 す る 行 為 を 行 う 。

2 第 五 条 及 び 前 条 第 四 項 の 規 定 は 、 摂 政 に つ い て 準 用 す る 。

・現行憲法

第 五 条 皇 室 典 範 の 定 め る と こ ろ に よ り 摂 政 を 置 く と き は 、 摂 政 は 、 天 皇 の 名 で そ の 国 事 に 関 す る 行 為 を 行 ふ 。

こ の 場 合 に は 、 前 条 第 一 項 の 規 定 を 準 用 す る。

第八条 (皇室への財産の譲渡等の制限)

・改正案

第 八 条 皇 室 に 財 産 を 譲 り 渡 し 、 又 は 皇 室 が 財 産 を 譲 り 受 け 、 若 し く は 賜 与 す る に は 、 法 律 で 定 め る 場 合 を 除 き 、 国 会 の 承 認 を 経 な け れ ば な ら な い。

 

・現行憲法

第 八 条 皇 室 に 財 産 を 譲 り 渡 し 、 又 は 皇 室 が 財 産 を 譲 り 受 け 、 若 し く は 賜 与 す る こ と は 、 国 会 の 議 決 に 基 か な け れ ば な ら な い。

まとめ

全体を通して順番や内容に多少の違いがあっても大筋同じ内容であるといえそうです。

 

 

次回はいよいよ安全保障に関する違いを深堀りしていきます!

ということで今回は以上です!

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