日本学術会議について書かせてね ~任命拒否=自由の侵害?~

社会問題
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菅総理が日本学術会議会員の任命を拒否したことが話題となっています。

菅首相、日本学術会議「推薦候補」6人の任命拒否 「共謀罪」など批判、政治介入か - 毎日新聞
 政府から独立した立場で政策提言をする科学者の代表機関「日本学術会議」が新会員として推薦した候補者105人のうち、6人を菅義偉首相が任命しなかったことが明らかになった。「学者の国会」と呼ばれ、高い独立性が保たれる学術会議の推薦者を首相が任命しなかったのは、現行の制度になった2004年度以降では初めて

そんな中、是枝裕和監督を中心に「学問の自由の侵害」だと抗議の声が上がっています。

日本学術会議問題、是枝裕和監督ら映画人22人が抗議声明「言論の自由への明確な挑戦です」 - スポニチ Sponichi Annex 芸能
 「学者の国会」とも呼ばれる政府機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補105人のうち、6人の任命を菅義偉首相(71)が見送っていた問題で、是枝裕和監督(58)ら映画人有志22人が5日、抗議声明を発表した。

映画人の多数が抗議の声を上げてる、かつ、映画関連の記事を書いている身として興味深かったので詳しく調べてみました!

そもそも日本学術会議とは?

日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。職務は、以下の2つです。

科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。

科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。

役割は

政府に対する政策提言

国際的な活動

科学者間ネットワークの構築

科学の役割についての世論啓発

http://www.scj.go.jp/ja/scj/index.htmlより

日本学術会議には、210人の会員と約2000人の連携会員がいます。

また、人文・社会科学、生命科学、理学・工学をの学者さんたちを代表する機関であり、別名「学者の国会」と呼ばれています。

会員の推薦方法

今回話題になっている部分の一つ、210人の会員の推薦についてです。

推薦方法は・・・

新たな会員候補者・連携会員候補者の選出は、現在の会員・連携会員が候補者を推薦し、日本学術会議自らが選考するコ・オプテーション方式(現在の会員及び連携会員が責任を持って推薦を行う方法)によって行います。

つきましては、日本学術会議の運営に関する内規第6条の規定に基づき、現在の会員・連携会員による新たな会員候補者・連携会員候補者の推薦を受け付けますので、会員・連携会員としてふさわしい「優れた研究又は業績がある科学者」の推薦をお願いいたします。

となっています。

会員の任命方法

日本学術会議法では以下のように決められています。

第一条
2 日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。

第七条
2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

※第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

3 会員の任期は、六年とし、三年ごとに、その半数を任命する。

また、総理大臣は同会議の同意のもとで会員をやめさせることもできます。

いずれにせよ、総理大臣が最終的な人事権(同意・推薦による一定の制限はあり)を持っていると言えます。

任命されなかった6人の方々

では、一体どんな学者が任命拒否をされたのでしょうか?

・立命館大学(刑事法)松宮 孝明教授

・東京大学(政治思想史・政治哲学)宇野 重規教授

・早稲田大学(行政法)岡田 正則教授

・東京慈恵会医科大学(憲法学)小澤 隆一教授

・東京大学(日本近代史)加藤 陽子教授

・京都大学(キリスト教学)芦名 定道教授 

 

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超一流大学の、名高い研究・業績をお持ちの方々です

それぞれの教授方は、安全保障関連法や共謀罪・特定秘密保護法などに反対なさっていました。また、全員が人文社会系(文系)の分野の第一人者であり、政治思想にダイレクトに関係してくる分野であると言えます。

政府(菅総理)の任命拒否の理由

菅総理は任命拒否の理由をこう述べています。

・法に基づいて適切に対応した結果だ

・総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断した

・会員自身の後任を指名することが可能

また、会員は公務員の立場になるため総理大臣が任命の是非を決めるのは正当であるとしています。

学問の自由の侵害か? 政府の法案への反対が原因か?との質問に対しても「全く関係ない」と述べています。

擁護してみる

まず、菅総理の考えを擁護してみます。

菅総理が推薦を拒否したことは法律に反していないし、憲法違反だとしたら同法が定められた当初や改正された時(最新は平成16年)に議論すべきだったんじゃない?と思います。

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法律で定められていると知りながら、実害が発生してから批判するのって・・・

そのうえ、推薦=任命されるという考え自体が少しちがうような気がします。

これまで推薦された人全員が任命されていたとしても、それはあくまで「慣例」であって「規定」されたものではありません。

また、任命拒否が学問の自由の侵害に発展するのは議論が飛躍しすぎだと思うのは私だけですかね・・・

批判してみる

批判点は、個別的に見た時の説明不足と中曾根康弘総理の言葉です。

まず個別的に見た時疑問に思ったのが、105人の内6人だけが任命拒否された理由です。

菅総理の考えは、客観的視点から見れば至極真っ当なものです。

ですが、6人だけが拒否されたのは何かしらの個人的・個別的な理由があるように思えます。

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法案に反対したことじゃなくて、人間性やただ単に嫌いだったからなのかもね・・・

理由が何であれ、しっかりと説明がするべきです。

この曖昧な拒否がひいては、忖度につながる可能性も十分あります。

 

もう一つの批判点が、中曾根康弘総理大臣は任命について「政府が行うのは形式的任命に過ぎない」と以前述べていたことです。

少し批判という部分では弱いですが、歴代の総理が認識していたか不文律を破ってしまったという点は伝統を否定するものです。

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とは言っても、伝統に固執してしまうのは良くないし・・・

まとめると、法律的(客観的)に見れば間違った判断ではないですが個別的(感情的)に見ると、理由不足というのが私の考えです。

映画人22人の批判を捉える

日本学術会議問題、是枝裕和監督ら映画人22人が抗議声明「言論の自由への明確な挑戦です」 - スポニチ Sponichi Annex 芸能
 「学者の国会」とも呼ばれる政府機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補105人のうち、6人の任命を菅義偉首相(71)が見送っていた問題で、是枝裕和監督(58)ら映画人有志22人が5日、抗議声明を発表した。

この問題の発端である、映画人22人による抗議声明はどんなものなのでしょう。

「日本学術会議への人事介入に対する抗議声明」と題した文書の中でこう述べています。

・この問題は学問の自由への侵害のみに止まらない。表現の自由への侵害であり、言論の自由への明確な挑戦だ

・放置するならば、政権による表現や言論への介入はさらに露骨になることは明らか。

 

この声明に名を連ねる是枝監督や塚本監督の「真実」「万引き家族」「野火」といった作品、また以前森達也監督とちょっとしたトークショーをさせていただいた経験から、声明を出した皆さんは日本の為を思って行動されている方々ばかりでです。

直接会って、トークをさせていただいた森達也監督は普通の人とは違った視点から社会に切り込む方で、良い意味で変人でした。

そんな映画人の皆さんが強調されているのが「自由の侵害」です。

ではなぜ、人事に介入するのが自由の侵害なのか?

その理由は簡単で政府に不利益なことをいう人がいなくなって、都合の良いことしか言わなくなってしまうからです。

日本学術会議は科学の視点から日本や世界の未来を予測・改善していく機関です。本当は悪い方向に進んでいるのに、顔色を窺ってばかりの機関になったら・・・ 恐ろしいですよね?

また、学者の国会=学者のお手本となる機関でもあります。代表者が媚びへつらうような人ばっかりだったら、約87万人の学者の皆さんだけでなく私たち一般人も忖度人になってしまう可能性があります。

映画人のことは大好きだけど批判させて

とは言っても批判点もあります。

まず日本学術会議は内閣総理大臣の管轄下にあるれっきとした国の機関である点です。たしかに独立性のある機関ですし、やりすぎた人事介入は最悪ですが、国の機関である以上一定の人事権の行使は組織運営には不可欠です。

今回も、105人の大半を任命拒否したわけではなく5.7%の人間の人間を認めなかっただけです。大多数の学者さん達は会員になりました。

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詳しくは調べてないけど、99人の中にも政府批判をしたことがある人もいるはず

そう考えると、自由の侵害にはまだほど遠いんじゃないでしょうか?(とはいっても、これから徐々に介入していくのかもしれないけど・・・)

また、自由は与えられるものではないという批判です。もちろん最低限の保障は必要ですし、それが脅かされるようなことはあってはなりません。あくまで素人目線ではありますが、国の機関に入れなかったならindependent scholar(在野研究者)として行動すれば良くない?と思っています。

どこかの国のように、私たちの行動・考えが全て管理されてるわけではないですし、自由は公共の福祉に反しない限り制限されません。

今回の件は、会員になれない=自由の侵害にダイレクトに通じていません。

あくまで、学者の代表者にふさわしくないと言われただけです。

それが悔しかったのなら、これまで以上に研究をして誰もが認める学者と呼ばれるようにならば、いくら首相であろうと任命を拒否できません。

考えても見てください。ウォーレン・バフェットが経済関連の会議から外されたら大バッシングですよ。

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勿論今回任命拒否されてしまった6人の方々は尊敬していますし、誹謗中傷したいわけではありません。

それでもこの声明には価値がある

ここまで批判しましたが、やっぱりこの声明には価値があることは否定できませんし、頭ごなしに批判できません。

先ほど自由の侵害を憂慮していると書きました。ですが、少なくとも今この時に「日本学術会議への人事介入に対する抗議声明」を出し、捕まることなくこうして議論し、意見を自由に書けるのは間違いなく敬愛する森達也監督をはじめとした映画人の活躍あってのものです。

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まさに、自由を取り(撮り)に行く人!

 

 

 

本物の第四の権力はやっぱり映画だと感じた一連の事件でした。

という事で今回は以上です!

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