医療崩壊と希少資源の配分問題【新潟大学の自由科目】

創生学部
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新潟大学一年生として、後期から自由科目の「人間学入門」を受講しています。

基礎的な哲学の授業、そして前期からずっと取りたかった教授の授業なのでめちゃくちゃためになっています。(まだ一回目だけど)

ということで、教授の作った資料の著作権に引っかからない程度にどんな授業なのか書いていきます!

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今後も書いていく・・・かも

医療崩壊と希少資源の分配問題

2020年のコロナ禍において、医療崩壊が起こるかも・・・なんて危惧されています。そうなると起こってくるのが命の選別です。

命の選別とは ~高齢者向けの「集中治療を譲る意志カード」~
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戦争映画から命の価値を考えます。答えは「名前」。理性を認めるか認めないかで大きな差が生まれるためです。 「生物的には人間だけど認識では人間ではないという矛盾」 実はSNS上でも起こっていたり・・・

※以前に、二つ命の価値・選別に関する記事を書いているのでご覧ください!

では具体的に授業内で示された事例について考えていきます。

事例1 最前線

戦場の衛生兵であるあなたは一人分の応急キットしか持ち合わせていません。

さて、最前線にいるあなたの前に三人の負傷者がいます。

その三人の階級と傷の具合は・・・

・少尉A 本国帰還せざる負えないほどの重いケガ

・軍曹B 手当をすれば数日で戦線復帰可能な程度のケガ

・二等兵C すぐに手当てしなくても基地に戻り治療すればすぐに治る程度のケガ

 

衛生兵である自分ができる対処は・・・

・A,B,C三人に対して一人分の応急キットを使う完全平等主義※しかし効果はない

・Aを治療する(功績主義・・・社会的貢献度や功績に照らして優先度を計る)

Bを治療する(功利主義・・・最大の効果を狙う)

・<一番最初にCが負傷したとして>Cを治療する(先着順、偶然の選択

おそらくほとんどの人がBを治療(功利主義)するのではないでしょうか?

三人を平等に治療しても効果がなく、本国送還せざる負えないほどのケガ(戦線復帰は絶望的)をしているAを手当てし、数日で戦線復帰できるケガを負ったBを見捨てるのは戦力の損失です。もちろん軽いケガであるCを治療しても良いのですが、やはりBを治療したほうが良いことは明らかです。

比較的、ぱっと決められる選択ですがいつ何時でも功利主義の立場に立つことは可能なのでしょうか?

次の事例の場合はどうなるか考えてみます。

事例2 エイズ感染

まだエイズにかかるとすぐになくなってしまう時代の例です。

自分が二人のエイズ患者を治療しているとします。

一人はエイズを発症したため少女をレイプしてエイズを感染させた一人の青年です。

もう一人は青年に感染させられた無垢な少女です。

手元には一人分のエイズの特効薬があるとします。

さて、あなたは特効薬をどう使いますか?

選択肢は・・・

・二人に一人分の薬を投与する(完全平等主義)・・・投与による効果は無し

・少女は発症するまで時間があるから、青年に投与し、とりあえず二人の命を担保する(功利主義)

・青年が先に発症したので、青年に薬を投与する(先着順)

・二人にくじ引きをさせて選ぶ(偶然の一致)

ここでは功績主義による選択はできません。(少女が有名人の子供だったり、青年が有名人だという設定はない)

また、少女を選ぶという選択肢は存在しないこともポイントです。

少女を選ぶというのは、感情による作用が大きいですよね?

青年の身勝手な行動で不利益を被っているという状態が「かわいそう」だから治療するとの選択はもちろんありですが・・・ここで問われているものとずれたものになってしまいます。

 

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事例1でこの感情的選択を加えると、より痛がっている人を治療する・家族がいるといった要因が出てくるから、答えが出せなくなっちゃう・・・

 

さて、どの選択肢も「なんだかなぁ・・・」といったものになっています。

ではもっと現実的な事例を考えてみます。

事例3 学費無料券

あなたが担任をしているクラス(40人)に一人分の一年間学費無料券が配られたとします。

・平等主義

・功績主義

・功利主義

・先着順

・偶然の選択

あなたはどの立場に立ちますか?

平等に分配するのは無理(一枚の券だから)で、先着順だなんていったらどう選ぶんだって話になります。くじ引き(偶然の選択)で選んだとしたら本当に必要な人に届かないこともあり得ます。となると社会的地位・・・ここでは成績の良い人選ぶのがベターっぽいですね。

事例4 弁当の配分

40人の生徒を連れて校外学習に出かけ、お昼にお弁当を配られました。しかし38人分しかありません。さてどうしましょう?

・平等主義

・功績主義

・功利主義

・先着順

・偶然の選択

平等に0.95人分に分けるのは非現実的ですね。功績主義も功利主義もここでは役に立ちません。(校外学習で最も消極的だった生徒二人の昼食を抜く?)

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先着・偶然の選択で選ぶのもアリだけど・・・

おそらく、皆で分け合って二人分の弁当を生み出すという結論が現実的かつ平和的ですね

でもこういった見方もあるよ

ここまで5つの立場から限られた物資(希少資源)をどう分配するか考えてきました。

かっこよく言うと「限られたパイをどう分けるか?」ですね。

しかし教授は「パイを増やせばよい」と言いました。

必要に対して供給が不足しているところに希少資源という問題が生じ、

結果として医療崩壊につながるのです。

事例5 人口透析

パイを増やすという考えをもとに考えていきます。

1962年アメリカ・ワシントン州シアトル市のスウェーデン病院 人工腎臓センターでの出来事です。

この病院には人工透析を必要としている患者が70人以上いました。しかし病院には2台の透析器しかなく、17人までしか対応できません。患者は一週間透析器による治療を受けないと尿毒症にかかり確実になくなってしまいます。

ここで取れる選択は・・・

①くじ引きor先着順で患者に治療のチャンスを与える

②独身者や身寄りのない高齢者より家族の多い人を選ぶ

③優れた才能や職業の人を優先する

④医療費を多く払った人を優先する

⑤先の長い若者を優先する

おそらく①②③⑤が競るのではないでしょうか?

ですがこれはあくまで透析器二台という限られたパイで考えた時です。

しかし④の場合多額の治療費で新たな透析器が買えませんか?

おそらく最も非平等的と思われるお金で命を買う④の選択がパイを増やし、より多くの人を救うことにつながるのです。

平等とは?

事例1~5を通して、各々のバックグラウンドを鑑みて平等にことを運んでいこうとしてきました。

では、「平等」とは一体何なのでしょう。

教授は盲腸で入院した際、看護に関してこう感じたそうです。

看護を受ける患者さんに同じように対応するのは平等ではない。

「各々に対して、その人に必要に応じて類似した事例に対しては類似した取り扱いを」

恩恵が平等であるように配慮する

さて健全な平等を保つ条件とは何でしょうか?

法律? 能力? 情報?

答えは「豊かさ」です。

そう、パイを増やす=豊かさ=平等となるのです。

勿論誰しもが同じほど豊かなことはあり得ません。ですが、豊かさを重視することで結果的に平等に資源を分配されるようになるのです。

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金権=悪っていうイメージがあるけど、受け取ったお金を還元できるようになれば資源を、人を平等に扱えるようになる!

 

 

 

 

ということで今回は以上です!

 

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